こじまだよ!の気まぐれレビュー 〜GFX100RF編〜
こじまだよ!の気まぐれレビュー
〜GFX100RF編〜
今回は1億2百万画素ラージフォーマットセンサーを採用したGFXシリーズ初となるレンズ一体型カメラ「GFX100RF」を気まぐれレビューします。
2017年に富士フイルム初となるラージフォーマットミラーレスデジタルカメラ「GFX50S」が発売されて8年、まさか102Mラージフォーマットのレンズ一体型カメラが登場するなんて想像できなかった。新製品「GFX100RF」レンジファインダースタイルのこのカメラを初めて触ったとき「GFX」もついにここまで来たのか!と驚きとともに所有欲がむくむくと湧き上がってきた。
まず驚いたのが、「GFX」とは思えないほどの小型軽量ボディ。なんと質量約735gしかない。これは今までのGFXシリーズ最軽量モデル「GFX50R」ボディ単体775gより約40gも軽い。サイズも幅133.5mm×高さ90.4mmとXシリーズじゃないの?と思うぐらいにコンパクト。又、アルミ削り出しのボディはシャープで高級感が感じられまるで工芸品のようだ。「GFX100RF」は実物を見ると更に良さが伝わるカメラである。

この小型軽量ボディに「GFX100SU」と同じ最新の1億2百万画素ラージフォーマットセンサー「GFX 102MP COMSU」&高速処理エンジン「X-Processor5」を搭載している。ということは、「GFX100SU」と同等のクオリティーの写真が撮れる実力があるということ。
これは早速試さなければと熊本撮影旅に「GFX100RF」を持ち出した。
熊本は2016年の熊本地震後に仕事で訪れている。その時は地震の爪痕がかなり残っており心を痛めたが、今回どれぐらい復旧しているかも気になり訪れた。
「GFX100RF」に搭載された一体型レンズは35mmF4(35mm換算28o)と風景写真やスナップには扱い易い焦点距離で今回のような旅写真にも向いている。
熊本のシンボル熊本城の天守閣は再建され壮大な姿が美しい。

「GFX100RF」の特長の一つにアスペクト比切換ダイヤルがある。ダイヤルを回すことで瞬時にアスペクト比を変更でき、より直感的な撮影が可能となる。更にアスペクト比が3:4、17:6と追加され従来の7種類から9種類になった。
新しく搭載された3:4のアスペクト比は以前富士フイルムから発売されたフィルムカメラGA645で撮影しているかのようにカメラを縦に構えなくても縦位置構図が可能。
天守から見た熊本の街。

9年経ってもまだまだ震災の爪痕が残る櫓。完全復活は2052年になるそう。
新アスペクト比フルパノラマ17:6で撮影。

とにかくアスペクト比を被写体のイメージに合わせながら瞬時に変更し撮影するスタイルは新鮮で楽しい体験だった。
アスペクト比の変更は通常リアのアスペクト比切換ダイヤルを回して変更するが、ファインダーを覗きながら変更したかったので、ダイヤルをCに合わせフロントコマンドダイヤルに割り当てることでスムーズに変更することができた。







AFの速さや精度は気になるところだが、「GFX100RF」のAFは最新のアルゴリズムが入っているようで非常に素晴らしく蝶にも一瞬でピントが合った。(被写体検出AF鳥)

被写体検出AF(電車)で撮影。問題なく追従してくれた。

「GFX100RF」はレンズ交換ができない代わりに1億2百万画素ラージフォーマットの優位性を活かし3段階(45mm/63mm/80mm)のデジタルテレコンが使用できる。このデジタルテレコン活用で一般的な風景写真やスナップ撮影に必要な焦点域をカバーできる。80mm相当までクロップしても約2000万画素と十分な画質を確保している。
デジタルテレコンはフロントにある切り替えレバーで簡単に選択が可能。
ダム湖の対岸にある桜をポイントに構成するためデジタルテレコン63mmを選択した。
撮影後にトリミングすることもできるが、現場でデジタルテレコンを使って画面構成することでフレーミングの勉強にもなる。

水田には入れないのでデジタルテレコン45mmを選択し画面構成。

旅の楽しみにはその地域の美味しい食事もあるが、「GFX100RF」なら食事中もバックから簡単に取り出せて撮影をすることができる。しかもレンズ前20cmまで寄れるのでGFXならではの肉のシズル感溢れる写真が撮れた。

レンジファインダースタイルの「GFX100RF」により気軽にGFXの解像力を様々なシチュエーションで使えるようになったことは、これからの撮影スタイルを大きく変える可能性を秘めていると感じた。
天草の絶景が眼下に広がる倉岳神社の天空の鳥居だが、霊山の山頂にあり駐車場から歩いて15分程掛かったが「GFX100RF」の小型・軽量のおかげで難なく撮影できた。

潜伏キリシタン関連遺産の「崎津教会」がある小さな漁村を「GFX100RF」と一緒に散策。


やはり漁村は猫が多い。

被写体検出AF(動物)でピントは問題なし。

今回、「GFX100RF」を熊本旅に持ち出してみて、旅やスナップ撮影には最強カメラなのではと感じた。ファインダーは非常に見やすくEVFだと忘れるぐらい自然。又、手ブレ補正が搭載されて無いことに最初は不安であったが、実際撮影してみるとレンズシャッターを採用していることもありシャッターによる振動はほとんど無く1/125秒ぐらいまでの通常撮影では手ブレなく安心して撮影できた。カメラをしっかりホールドして撮影すればもう少しスローシャッターでも大丈夫そうな感じだ。更にレンズシャッターの恩恵としてフラッシュが全速同調できるので、日中シンクロ撮影にも威力を発揮する。ただ、レンズシャッターはシャッター音がほぼ無音に近く、慣れないとシャッターが切れたかどうか分からないので、設定でシャッター音をONにした方がいいかも。バッテリーの持ちは良く一日で150枚ほど撮影したがバッテリー容量は半分以上残っていた。(※カタログ値は約820枚)
このように、ほとんど不満のないカメラだが、少し気になった点を挙げるとフロントコマンドダイヤルを操作しているときに不意にデジタルテレコン切り替えレバーを触ってしまうことがあり、気付かずにクロップ撮影していたことがありこの辺りは慣れも必要。あとは簡単に「GFX」が扱えてしまうのでつい安易にシャッターを切ってしまい気が付いたらデータ容量が膨大になってしまうことか。(これは本人次第)
いずれにしても魅力満載のカメラです。GFXに興味がある方のファーストカメラや、GFXユーザーのサブカメラとして、又、終のカメラなどにもおすすめできる1台。ぜひ「GFX100RF」をご体感ください。

FUJIFILM GFX100RF
詳しくはこちら【プロフィール】
小島 勇
富士フイルムイメージングシステムズ
デジタルカメラ事業部勤務
スタジオ勤務を経てプロラボクリエイトで写真展監修や作品作成サポートに携わる。
現在は全国北海道から沖縄まで新製品イベントやデジカメセミナー等、社内外講師として活動。
フォトマスターエキスパート総合取得
公益社団法人日本写真協会 会員