April 14,2022
INSTAX mini Evoで撮る、北海道・美瑛の北の休日
CASE STUDY 06 :
Kei Maeda
北海道・美瑛に家族で移住してきてから2年目の冬。
我が家は妻・よしこと小学校2年生の娘・季乃の3人家族で、美瑛の片隅の一軒家で暮らしている。家のすぐそばには祖父が30年前に植えた白樺の森が広がり、エゾリスが走り回っている。11月下旬から4月まで、およそ5ヶ月の間、大地は雪に覆われ、我が家のまわりも一面が真っ白になる。
そんな我が家の冬の休日の一日を、「INSTAX mini Evo (以下略:Evo)」と過ごしてみた。普段仕事で使っている一眼レフだとどうしても肩に力が入るし、娘と一緒の時間に大きなカメラを抱えていくのも邪魔になってしまう。OFFの日に気分をかえてカジュアルに撮影するには、このくらい遊びのあるカメラは良いと思う。
一日の始まりは朝の6:30。学校のある日もこの時間に起きているせいか、自然と目が覚める。
起きると2階の寝室のカーテンを開け、昨夜のうちに雪がどれだけ積もったかをチェックする。5cmや10cmならまだまだだけど、どかっと降るときは20cm以上積もるときもある。着替えて外に出て、さまざまな形状のスコップ(それぞれに得意技がある)を使って雪かきしていく。季乃も一緒に手伝ってくれるが、大抵の場合すぐ飽きてどこかに走っていってしまう。
休みの日は朝ごはんにパンケーキを焼くことが多い。このあたりは小麦の産地なので、地の粉を使って。パンケーキを焼くのは季乃の仕事、毎朝コーヒーを淹れるのは僕の仕事だ。
料理人の妻は同じ敷地内のすぐそばで昨夏に「SSAW BIEI」というレストランをオープンしたこともあり、土日は仕事。
僕は、自宅から店までの雪かきと、お店の薪ストーブの火をつけたり、焚き付け用の薪を割ったりして一仕事を終えたら、そのあとは天気が良ければ季乃と一緒に出かける。カメラは、常に車に入れておく。なんせ、素晴らしい風景にいつ何時出会えるか分からないのが美瑛だ。油断はできない。しかしいざ撮影をはじめると、助手席に乗っている娘は大抵ブーブーと怒り出すのだが…。
さて、どこへ行こう。
東京に住んでいた頃は、娘を自転車のうしろに乗せて、あちこちの公園をはしごして一日中遊びまわっていたけれど、こちらの公園は冬の間、雪に埋もれてしまうのでそういうわけにもいかない。北国の冬の遊びと言えば、やはりスキーとスノーボードだ。
僕は東京生まれ東京育ちで、北海道に住んだのは2年前の40歳の年から。スキーは小学校4・5年生のときに数回やったきり。昨年30年以上ぶりに、久々にスキーをした。娘が滑れるようにと一緒に付いていったのだが、スキー場でリフトに乗り、下まで降りてくる最初の一滑りで、30年以上前のスキーを大好きだった気持ちを一瞬で取り戻した。ワクワクする、嬉しい瞬間だった。
それ以降、昨年は美瑛町内にある小さな町営スキー場や東川のキャンモアスキービレッジ、本格的なコースもある大きな富良野スキー場と、娘とスキーをするためにあちこち出かけた。この冬はさらに輪をかけて、二人で毎週のようにスキー場に出かけ、去年は滑れなかった中級者コースや上級者コース(まださすがに無理で僕が大ゴケした)にチャレンジしている。娘は「スノボもやりたい」と言い出し、友達に借りて初めてのスノーボードにもチャレンジしていた。
ふたりのお気に入りは、富良野スキー場。とにかく広い。初心者から上級者まで幅広く楽しめ、コースから眺められる風景もいい。富良野ゾーンと北の峰ゾーンの2ゾーンからなるのだが、その間もコースで繋がっていて、ちょっとした探検気分で道を探りながら滑れるのも楽しい。
そして、雪をポジティブにとらえられるという面でもスキーは大きい。何せ降りないと滑れない。暮らしの面では、除雪や車の運転など厄介な存在である雪だけれど、スキーと写真に関しては、降ってくれるとうれしい。その正負の両方が常に頭によぎるのは、ここに住み、暮らしているからこそかな、と思う。
話を戻すと、娘はスキーが大好きである。とにかくビュンビュンスピードを出して、ふかふかの場所も、コブでも何でも、飛び込んでいく。やたらと上級コースに行きたがり、無謀なチャレンジをして何度も転ぶけれど、めげない。そして誰にも習わず、好き勝手に滑っている。多分、僕よりすでに上手い。
「こわがっちゃダメなんだよ。」「好きなように滑ればいいんだよ。」「笑顔でカーッと歯をくいしばって滑るといいよ。」
とか、いろいろアドバイスをくれる。
確かに、スキーは楽しむために滑っているわけで、何も選手になるわけでも検定を受けるつもりもないので、自分がいかに楽しめるかに尽きる。そもそも子どもの頃から何万回とコースを滑ってきている道民の方々に自分が敵うはずもなく、比較すること自体がナンセンスだ。
それでも楽しい、やりたいと思えることを40歳を越えてから見つけられたことは幸運だ。しかもスキーをやるには、もってこいの場所で。いまの目標は、旭岳のロープウェイに乗って、山の中のコースを滑ってみること。いつかは十勝岳連峰へのバックカントリー(コースではない雪山を登山して上から滑って降りてくる)にも挑戦してみたい。