良い道具は作り手の創造力を手助けしてくれる良い道具は作り手の創造力を手助けしてくれる

February 1,2022

良い道具は作り手の創造力を手助けしてくれる

CASE STUDY 04 :

Yusuke Komiyama

PROFILE
小宮山裕介
小宮山 裕介  Yusuke Komiyama
1996年レンタルスタジオ入社、アシスタント及びスタジオマンとして勤務後に広告代理店入社、フォトグラファーとして広告業に携わり、2000年独立。
2001年渡仏、2003年アーティストビザ取得。2005年帰国。
2009年モビール株式会社設立。
広告、雑誌、Webなど多方面で活動中。

カメラってただそこにあるものを写すものだけど、その写真を撮った人の気分なんかも映ると思う。
その時そこにいなきゃ撮れない写真。そのひとの気持ちを再生してくれる写真。アートでもあるし、単に伝達手段でもある。
広告代理店で働いていたころ、主に大判カメラで撮影をしていたんだけど、いろんなメーカーのレンズがある中にフジノンレンズが何本かあって好んで使っていた。発色が素直で豊かな色が好みだった。そこへ入社する前のスタジオにいたときは中判や35mm判での撮影が多かったので、より大きなフィルムサイズがあたえてくれる表現にすごく感動した。

※この画像はGFXで撮影したものではありません。

フリーランスになって一年後、海外へ旅に出たことが一度もなかったので、一年くらいどこか外国に住んでみようと思い、学生ビザを申請して2001年の春、フランスへ移住した。
29歳で20代最後の歳だったというのも、気持ち的に渡航する後押しになったのかもしれない。
水が合ったのか、運良くアーティストビザも取れてなんだかんだ2005年までちょうど4年間ほど暮らしていた。


最初にパリに着いたその頃は、まだフィルム撮影が全盛で、デジカメはコンパクトなやつしか持っていなかった。
パリコレクションの撮影などもするようになり、仕事も増えていった。

※この画像はGFXで撮影したものではありません。

日本のクライアントにフィルムを郵送するのが怖いなあと思っていた頃、仕事で使えそうなフルサイズデジタル一眼レフカメラが出てつかいはじめた。デジカメを仕事で使うようになったのは2002年ごろだったかな。ちょっと早い方だと思う。それからここ最近まで各社のフルサイズデジタル一眼レフ、ミラーレスカメラを使ってきた。

中判のGFXが出た時、ものすごく気になりつつもあえて見ないようにしていたかもしれない。35mm判での描写も近年では必要十分ではあったし。カメラを変えるとレンズも揃えることになるのもあって、なかなか思い切れないですよねえ。

でも最近、背中を押されるような出来事があって、しかも新型が出るって話を聞いてついに手に入れてしまったわけです。

気持ちの良い絵が撮れる、中判ならではの無理のない空気感。 やっぱりレンズもすごく良かった。
仕事で使うカメラの使用頻度は完全に「GFX 50S II」に切り替わった。

シャープだけど硬すぎなくて、色が鮮やかで後処理がやりやすい。
広告の撮影では正しい色を求められることが多いので、カラーチャートを使って色調をニュートラルにするんだけど、色が豊かなレンズなのでホワイトバランスを取っただけでオッケーだったりする。

単焦点の標準レンズと組み合わせると、中判なのにスナップで持ち歩いても苦にならないサイズと軽さ。
新型コロナウィルスの流行で海外旅行へも行けないし、お気に入りの酒場も閉まっていたりしたので、キャンプに持っていったりしています。

キャンプいいですよね。
ぼくはなぜだか昔から焚き火が好きなんだけど、野外で火を眺めて料理しているだけで気持ちが高揚します。さらに料理が美味しく感じられる。
星空を見上げながら妻や仲間たちと過ごす、ゆったりとしたひとときを写真に撮ったりしているのはすごく豊かに感じられます。

こういう時は今時の高感度カメラってありがたいです。
けっこう感度を上げてもかなりノイズが抑えられている。
駆け出しの頃に白黒フィルムで粗粒子表現やっていたときは、ISO3200が超高感度だったけど、今では常用感度になってきていてすごい。

今年は特に降雪がすごい義母の住む青森でも雪掻きがてらスナップしたり。
白い雪の中の明るいところと暗いところの細かい描写がいい感じに出ている。
大きめな背面モニターがついているのに意外と電池も長くもつし、−10℃の寒さでも普通に使える。ものすごい吹雪の八甲田山頂でもへっちゃらだった。自分がさきにへこたれたけど。


新宿に帰ってきて街の写真を撮っている時に気が付いたのですが、長時間露光している時、モニターにシャッターが閉じるまでの残りの秒数が表示されるのもなかなか良い機能。8秒以上なのかな?(*1)
長めの長時間露光だとシャッター開放時間と同じだけの時間が処理にかかるけど、それも終了までの秒数が表示されるので気が利いている。

人物撮影の時のAFの速さと正確さも助かる。
タレントさんや著名人の撮影だと被写体が忙しい方が多いので、撮影時間があまり長くない。
海外の俳優さんの撮影で、与えられた撮影時間が3分などということもあった。 だけど、その中でもなるべく良い選択肢を残せるといい。目にフォーカスしてくれるのでNGカットが少ないのはうれしいです。

あとね、すごく大事なこと。
富士フイルムのカメラって、かっこいいとおもう。
同じく写真家の妻もX-T3を持っているけど、機能が形になっているというか、 持ち歩きたくなるデザイン。

初めて使う時でも主な操作が物理的なダイヤルだったり、カスタマイズで増やしたり変更したりできる情報表示なども、初期設定では必要最小限になっていてカメラに慣れた人だったら違和感なく使えるし。
できることが多すぎて分かりにくくならないように絞り込んでいる感じがする。

一眼レフデジタルカメラにも良い特徴がいっぱいあるけど、どうしても本体もバッテリーも重たくて大きくなる。
以前は頑張って持ち歩いていたけど写真を撮るのが楽しく無くなっていってしまう。
写真家ってカメラがないと何もできないので、いつも持ち歩けるってほんと大事。
それだけでもこれ買って良かった。

このカメラがいまの自分にとってかなり良い選択肢であることは間違いないです。
だけど良いところばかりではなく、少々困ったところももちろんあります。

たとえば、GFXだけの問題ではないんだけど、中判なのでピントの合う範囲を深くしたい時にかなりの光量が必要になる。
ここ最近、400wのモノブロックストロボを何台か持っていけば十分だったんだけど、GFXに乗り換えてからは2400wを2台4灯、追加で持っていったりしている。
この部分に関してはティルトシフトレンズが発売予定らしい(*2)ので、近年料理撮影が多い自分は助かると思う。

んー、思いつく困った点ってこれくらいかな。
その問題部分を補って、且つあまりある良いところがいっぱい。
カメラ買ってワクワクするのって久しぶりだ。

※(*1) 1秒〜設定可能。参考: https://fujifilm-dsc.com/ja/manual/gfx50s-ii/taking_photo/shooting_mode/
※(*2) 参考: https://fujifilm-x.com/ja-jp/products/g-mount-lens-roadmap

PRODUCTS

GFX100S<br>GF45-100mmF4 R LM OIS WR<br>GF80mmF1.7 R WR<br>GF100-200mmF5.6 R LM OIS WR

GFX 50S II

ラージフォーマットでなければ実現できない異次元の描写性能。ラージフォーマットでは考えられなかったスタイルでの撮影。
GFX 50S IIはラージフォーマットの常識をまた一つ覆し、表現を追求するクリエーター達に、新たな可能性を切り開く。

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