October 10,2023
出会うこと、手渡すこと、
残るもの。
INSTAX SQUARE SQ40と過ごした鎌倉の夏
CASE STUDY 10 :
Yohei Kakimoto
鎌倉で「柿乃葉」と「KAKINOHAHANARE」というふたつのブティックのオーナーをつとめる柿本陽平さん。アイテム数を極限まで絞ったギャラリーのような佇まいの「柿乃葉」、そして住宅地の路地裏の奥でひっそりと営業するセレクトショップ「KAKINOHAHANARE」は、“わざわざ訪れたい場所”として服好きの人々の注目を集めています。
ウェブサイトで商品の背景やこだわりを綴っている「手記」には、柿本さん独自の視点で切り取った写真も添えられています。人の手で作られた洋服や器、手で触れることのできる表現。そういったものを愛してきた柿本さんに、富士フイルムの新しいインスタントカメラ「INSTAX SQUARE SQ40」で身の回りのものを撮っていただき、「物」との向き合い方について話を聞きました。
僕はやっぱり古い物が好きなんです。年代によって変わるデザインやその背景を知るのが面白くて、どんどんファッションに惹かれていきました。
「ファッションにのめり込んだきっかけはスニーカーでした。当時エアマックスがブームになってて、中学生くらいからレアなモデルを徹夜で並んで買ったりしてたんですよ」と懐かしそうに語る柿本さん。地元・熊本の甲子園常連校で野球に打ち込みながら、それ以外の時間は洋服のことばかり考えていたそう。ファッション雑誌を端から端まで読んで、ワークやミリタリーのディテールを知り、セレクトショップや古着屋に通った日々が今につながっているといいます。
「僕はやっぱり古い物が好きなんです。年代によって変わるデザインやその背景を知るのが面白くて、どんどんファッションに惹かれていきました。高校と大学では繊維や素材についても学び、セレクトショップでプレスの仕事を始めたのが23歳くらいのとき。30歳で独立するまで、好きだったファッション雑誌にも関わることができて色々な学びがありましたね」
独立してフリーランスになった柿本さんは、2014年に衣食住にフォーカスしたセレクトショップ「BLOOM&BRANCH」のディレクターに就任。“良いものだけを扱う”という理念で、10年近く愛されるお店づくりを手がけました。
「当時考えていたのが、ファッションだけじゃなくライフスタイルを掘り下げたセレクトショップ。9年間ブレずにやり切ったという思いはありますが、やりたいこと、求められること、利益や質のバランスに葛藤もありました。周りに左右されず、もっと小さい規模でやりたいことをわがままにやれるスタイルを考えた結果、柿乃葉というお店が生まれたんです」
お店をやるうえで大事なのは、自分に正直に真実を伝えること。いくら売れるとしても自分が好きじゃないものを扱うことはしたくない。
人の手がないと表現できないような、細部までこだわった一枚と対峙できる空間を作りたかったんです。
柿本さんが鎌倉の雪の下に「柿乃葉」をオープンさせたのは2020年の秋のこと。白い壁に囲まれ自然光がさしこむ空間に、10点にも満たない商品が点在している様子は、ショップというよりもギャラリーと呼ぶ方がしっくりきます。
「僕は洋服に限らず器などの“物”が好きで、個展にもよく足を運ぶんです。そういうとき、釉薬の流れなんかをじっと見て、物に対峙していると無心になれるんですよね。たくさんの商品を次から次へと見ていくのではなく、一枚の洋服や一点の器と向かいあうようなお店って世の中にあんまりないし、面白いかもしれないなと思ったのがきっかけでした」
柿乃葉で扱うのは「MAATEE&SONS」や「NICENESS」などのデザイナーとひとつひとつ企画した、作家性がにじみ出るようなもの。もともと古いものが好きだったという柿本さんは、「人の手で作られたもの」への愛着が大きいと語ります。
「まずは素材を作るうえで、糸の撚りや経糸と緯糸のバランスをどうするか、理想的な手触りにするために二次加工を入れるとか、細かい部分までこだわっている服じゃないともう満足できなくなってしまって。大量生産じゃない、人の手がないと表現できないような服が好きなんです。だから、柿乃葉ではここでしか買えない物を月に3〜4点出すだけ。洋服が趣味、みたいな人のためのお店ですね(笑)」
今年、「柿乃葉」から10分ほど歩いた扇ヶ谷にオープンした「KAKINOHAHANARE」は、バイイングした商品を中心に扱うセレクトショップ。別注品のみの「柿乃葉」とは違い、柿本さんが選んだブランドのインラインが楽しめるブティックです。お店に関わるさまざまなことをすべて自身で手がけてきたなかで、どんなことを大事にしているのでしょうか。
「ひとつ決めているのは、自分に嘘をつかないことですね。僕はファッションビジネスって言葉が嫌いで、いくら売れるとしても自分が好きじゃないものを扱うことはしたくない。そういう気持ちを追求して、商品構成の偏りなんて気にせず、良い表現を考えることに時間をかけています。最近は鎌倉でアンティークの家具や、好きな作家の器などを混ぜたお店をやりたいなとか、今後のアイデアも膨らんできました」
どんな服なのか、どこに感動したのかを自分の言葉で綴る。
そして、一枚の服が醸し出すムードを写真で伝えること。
柿本さんがものづくりと並行して大事にしているのは、写真と文章を通して商品の背景を伝えること。「柿乃葉」のウェブサイトに「手記」と題してアップされる記事には、ひとつひとつの商品が生まれた背景やディテールのこだわりを綴っています。
「柿乃葉は週に1点、もしくは1コンセプトだけを提示するようなお店なので、やっぱり深掘りしないとお客さんには伝わらないと思うんですよ。パッと見てわからない素材やデザインの話をしっかり言葉にして表現しないことには、オーダーもありませんから。まずデザイナーさんに電話をして取材してから、自分が何に感動したのかっていう本当の気持ちを自分の言葉で書いていく。何事にもこだわってしまう性格なので、夜中まで何度もくり返し文章を校正することもよくあります(笑)」
ほとんど本を読まないという柿本さんが影響を受けたのは、若い頃に夢中になって開いていたファッション雑誌。そこで見た写真や文章を自分のなかで消化していったことで、無意識のうちに“伝え方”が身についたのかもしれません。
「写真に関しては、セレクトショップのディレクションをしていた30代に物撮りやビジュアルづくりを経験するなかで磨かれたものも大きかったと思います。例えば強弱や陰影を意識したり、服に空気を入れてあえて皺を作ったり。奥行きやムードが伝わるような、ちょっとドキッとする写真を心がけていますね。何かを想像させるような、そういう写真が好きなんです」
「INSTAX SQUARE SQ40」の魅力は、その瞬間の記憶を、ものとして手渡せること。目に見えない雰囲気やムードみたいなものを切り取ってくれるので、
人と会うときに持っていたいカメラだなって思います。
INSTAX“チェキ”の新たなラインアップ「INSTAX SQUARE SQ40」を片手に、鎌倉の海や山や街、柿乃葉からみえる風景などを撮影してくれた柿本さん。特別な操作が必要のないオート機能とスクエアフォーマットで、ふとした瞬間をカジュアルにスナップした軽やかさが伝わってきます。
「今気になっている色や柄のムードだったり、新しいお店のウッドデッキ、窓から見える風景。それから子どもや犬、いつもサーフィンしてる七里ヶ浜、通ってるレストランとか、自分が好きなものを色々と撮ってみました。最初はなかなか慣れなくて、撮ろうと思ってないのに写っちゃったものとか、ちょっとしたズレとかが出てきちゃったんですが、それが逆に面白いなと思えるのがこのカメラの良いところですよね。
画素数とかピントとかそういう次元じゃなくて、その瞬間の雰囲気やムードを切り取っていく楽しみ。とくに家族と一緒に使うと子どもが喜ぶし、“物”になって誰かに手渡せるのがいいなと思いました。撮った写真を交換したり、その場で壁に貼ったりできるから、人と会うときに持っていたいカメラですね」
「物」が好きな柿本さんらしく、パッケージのデザインにも惹かれるものがあったそう。
「富士フイルムってデザインがクラシックで良いじゃないですか。だから、最初に手もとに届いてパッケージを開ける段階で、もう良い物に触れている感覚とか、良い写真が撮れるだろうなっていうワクワク感があるんですよね。持ったときの軽さとか、レトロなデザインも好みなので、これから色々なシーンで使ってみたいです」
そこに行かなければ触れられないもの、見られないもの、出会えないこと。ものをつくり、手渡してきた柿本さんの日々には、「INSTAX SQUARE SQ40」のアナログな質感がよく似合います。
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“チェキスクエア” INSTAX SQUARE SQ40
撮りたいときに感覚的に操作できるというシンプルな機能はそのままに、高級感あるデザインを追求した、スクエアフォーマットのインスタントカメラ新モデル
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